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出羽国風土略記
十最上郡
当郡は大郡にして、もとは奥州の内也、和銅年中、当国に属す、東の方は山にして、奥州仙台領に隣、南には村上郡有、西は飽海郡にして、最上河流下る、北は由利矢島領に隣、四方重山連也、山お以て境とす、地理お見るに、当郡仙北数郡の上に有故に、最上とは称しけるにや、〈物お称して最上といふ事数多あり◯中略〉当郷村等の事未考、高六万八千弐百石、戸沢上総介殿代々領之、郡中の大邑お新庄といふ、又奥州境の方に西新庄といふ有、新庄よりは東の方也、奥州よりは西也、是お以て考れば、古陸奥に属したる頃、是に対する庄有之、新庄とは雲けるにや、