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東遊雑記

久保田(○○○)は、昔時秋田城之助代々城主たりしに、今は佐竹侯の御城地にて、当主次郎侯と称し、二十万五千八百石余の諸侯にて、新羅義光の嫡流にして、諸侯の中にての歴家なり、〈◯中略〉市中三十六丁にて、三千八百余軒の地なり、町のもやふ皆々杉板の家根にて、上に石おかず〳〵ならべておしとなし、壁も板壁にして、ひさしは同じやふに一間余も差出して、是お雪道と称して、雪のふる節の通ひ路とす、往来筋には富饒に見ゆる家居もなく、かしこ援に草ぶきの小家交わりて、上方筋の城下と違ひて見苦し、