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日本鹿子

同国中〈◯出羽〉名所之部 最上川 奥州一番の早川也、古今大歌所の御歌、 最上川のぼればくだるいな舟のいなにはあらず此月ばかり 象潟(きさかた) 後拾遺旅のうたに、能因法師 世の中はかくてもへけりきさがたの海士のとまやおわが宿にして 角深山(すみのふかやま) わくらはにとふ人もなき柴の戸にわが身ひとりはすみのふか山 宿蜻(やどせ)山 むや〳〵の関 袖の浦 当国は、旧記にとヾむる所の名所すくなし、世に人のしるところおのするものなり、