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古事記伝
十一
高志国は越国なり、〈出雲国神門郡なる古志には非ず〉後に越前、加賀、能登、越中、越後などヽ分れつれども、歌などにはなほなべて越とよむなり、さて此国名は、越後国に古志郡あれば、〈他の例によるに〉其より出たるにや、名義は知がたし、〈山お越て行く国なる故の名と雲は、ひがごとなり、若然らば、古延とこそ雲べけれ、凡て自越るおば、古延とこそいへ、古志は令物越お雲なれば、我と物との異あり、今の世に我ことに、山川お古須と雲は誤なり、古さることなし、又書紀神代巻に、八島の一お越洲とあるお、或説に蝦夷地と雲といひ、越国は其へ往来ふ道なる故の名と雲も、いたく強説なり、〉