信長公記

十四

天正九年六月廿五日、羽柴筑前守秀吉中国へ出勢、打立人数二万余騎、備前美作打こし、但馬口より因幡国中へ乱入、橘川式部少輔楯籠とつとり之城、四方離れて嶮しき山城也因幡の国は北より西は滄海漫々たり、とつとりと西之方海手との真中廿五町程隔、西より東南町際へ付て流るヽ大河有、此川舟渡し也、とつとりへ廿町程隔、川際につなぎの出城有、又海之口にも取継要害有、芸州よりの味方可引入行として二ヶ所拵置たり、とつとり之東に七八町程隔て並程之高山有、羽柴筑前守彼山へ取上り是より見下、