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冠辞考
六都
つぬさはふ 〈いはのひめいはみの海〉 〈いはれのいけ〉 万葉巻二に、〈人麻呂〉角障経(つぬさはふ)、石見之海(いはみのうみ)、〈◯中略〉こは蘿這石(つたはふいし)とつヾきたる也、伊の部にいへるごとく、古へは角(つぬ)、綱(つな)、蘿(つた)お相通はしていふが故に、蘿お都奈とも、都奴ともいへり、かの岩綱と書たるお、岩蘿の事也といひしに同じ、さてこヽに兎怒瑳破赴といふは、奴瑳の反奈なれば、兎奈の奈お延て、兎怒瑳といひ、破赴は蔓の這也、且その兎奈と同じき事、右にいふが如くて、蘿這岩てふこと也けり、〈語お延ていふは、透おすけき、淋おさまみしといへる類なり、〉且万葉に、角障経と書たるは、例の借字也、字に泥て誤べからず、