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古事記伝

隠伎之三子(おきいみつごの)島、下には游岐島と書り、名義は海原(うなばら)の奥中にある島と雲なり、〈書紀口決に、奥也、西北之隅謂之奥とあるは、似たることながら、漢書にかヽれる故に事違へり、纂疏の説も同じ、〉三子島とは、或人、此国三島ある故に雲と雲り、今国図(くにがた)お考るに、まづ此国四島に分れたる、其中に東北の方に在て大きなるお、俗に島後(たうご)と雲ひ其西南の方に〈今の道五里ばかり離れて〉天之島、向之島、知夫(ちぶり)島とて三つあり、此三つの島お統(すべ)て島前(だうぜん)と雲なり、〈島後に比ぶれば、いづれも小(ちひさ)し、〉三つ子とは、まことに此れお以て雲なるべし、