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播磨名所巡覧図会

室(○)の津(○) 室の泊 室の浦 当津は、播州の一都会にして、西国大名参勤往来の著岸と定め、又乗船の津とも定む、帝畿お去事四十二里、山は三面に裹みて、江湾は一方に洆(しゞま)り、海上百里美景お観望し、泊船は池中に遊ぶがごとく、旅客は波上に枕お安んず、峯には樵夫の斧お響し、岸には遊女の糸竹に媚き、国守の艤に海士の綱手お潜せ、誠に貴賤苦楽窮覧の界なり、室とは人の居室の事也、故に此江の取まはしこもりたるにたとへていへり、