[p.0540]
祖父物語
虎之助高声になりて、市松も御一家、我等も御爪のはしなり、何とて二千石おとりたるぞ、今度の鎗、市松に少も劣らず、伯耆にかへすとて、朱印おいたヾかざりける、其声高ければ、太閤きこし召、虎之助は総じてうつけものなり、女あづかりおき、以来は市松と同様にとらせんと仰ける、後に播州姫路にて御加恩ありて、都合五千石の地お下されける、