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播磨名所巡覧図会

舞子浜〈たるみの西はづれより山田村迄の間、東西十五六丁、南北五六丁の松林なり、〉此地古歌なければ、必名所といふには非ず、されども名高き事、天下に聞へたり、是正に砂色松の翠色、物に異なるが故也、砂は雪より白く、数千株の松に高低なく梢お等ふして、丈に不過、枝幹屈曲おのづから見所ありて、葉の色殊に深くして、鴨の毛のごとし、いかさま高砂尾上住のえといへども、是に一変して独松林の賞すべき者也、