[p.0647]
厳島道芝記

いつくしま(○○○○○)は、安芸国佐伯郡の海の中にあり、めぐり七里、東西北の三方、地お相さる事、遠きは四五里、ちかきは一里ばかりなり、南の方は、はるかに伊与の二名のしま、つくしの海までも見ゆ、山そびえ、江めぐり、くま〴〵まで松おひしげり、うら〳〵の名所、岡谷の旧地、百にあまれり、〈◯中略〉もとはおんがのしまと名づけ、宮いしたまへる所おば、みかさのはまといふ、おんがといへる事は、明神鎮座おはしまして、神の御香のふかきゆへなりとかや、〈◯中略〉又みやじまといへるは、此神の宮地の島なるゆへに称せる名なり、〈◯下略〉