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道ゆきぶり
備後の尾道より安芸国ぬたといふ所にうつり侍る、道は南東へ出たる山あり、ひがたおへだてたり、いぬいにそひていそ路はるかにゆくに、吉和といふ所あり、〈◯中略〉其海中に木ぶかき小島二ならびたり、是なんくぢら島(○○○○)といふなり、年ごとのしはすに、くぢらといふうお多くよりきつヽ、又のとしのむ月に又かへり侍るとなん、是はこヽにいます神の誓にてかく侍ると、海人どもの申也、其より猶南に大海に出るさかひおば、めかりの浦とぞいふなる、〈◯歌略〉北より南にさし出たる山さきに、松や檜原しげりて、いとおもしろきおのへあり、いとさきとぞいふ、〈◯歌略〉むかひにひがたおへだてたる山お、いんの島(○○○○)といふ也、