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芸藩通志
三十七安芸
安芸郡 疆域形勢〈風気沿革附〉 安芸郡は国の中央にありて、昔国府おもこヽに置かれければ、国郡名お同じくすと見へたり、今の藩府広島の東にあり、府市京橋以東は此郡の内なりしが、今は管お異にす、広四里半、東は上瀬野村より西は牛田村に至る、袤五里半、南は警固屋村より北は畑賀村に至る、但し離島おば除ていふなり、四隣東は賀茂郡、西は府郭新田及び沼田佐伯二郡、南は海お隔て、伊予国風早郡、北は高宮郡なり、故府廃すること久し、今海田お郡本とす、〈◯中略〉 按に当郡の地、上古は境界太広し、中古割て二郡とし、南お安南(○○)、北お安北(○○)とよびたり、〈安南或は安那阿難などともあり〉後に安北お高宮郡とし、隻安南お以安芸郡とせられければ、今当郡の地は中古安南の地のみにて、上古疆界の半お失ひぬ、