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芸藩通志
六十四安芸
高田郡 疆域形勢〈風気沿革附〉 高田郡は国の東北辺にありて、藩府お距る七八里なり、其地高き故に高田とは名づけられたるにや、広三里半、東は小原村より西は土師村に至る、袤七里、南は三田村より北は生田村に至る、四隣東南は賀茂、豊田二郡、西南は高宮郡、西は山県郡、北は石見邑智郡、東北は備後三次郡なり、吉田町お以郡本とす、〈◯中略〉 按に当郡の地、上古は東辺お高田、西辺お高宮とす、後合せて一郡となりければ、今の地は古に倍す、故に倭名抄高田郡所管の七郷、高宮郡の六郷、今並に当郡の内にあり、又按に安芸郡田所家古文書、及び豊田郡楽音寺神名帳などお見るに、吉田郡といへるあり、其郡内に禰村、志路村、石浦村などの名も見ゆれば、中古彼あたりお吉田郡と称せし事もありしと見ゆ、されど外に古記の左証もなければいぶかし、姑く附して後考お待のみ、