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道ゆきぶり
五月十九日、備後の尾道より安芸国ぬた(○○)といふ所にうつり侍、道は南東へ出たる山あり、ひがたおへだてたり、いぬいにそひていそ路はるかにゆくに吉和(○○)といふ所あり、〈◯中略〉はつきの廿九日、あきの国ぬたのさとおたちて、入野(○○)といふ山ざとおとおり侍るに、此所はむかし小野のたかむらの故郷とて、やがてたかむら(○○○○)ともおの(○○)とも申侍るとかや、大なる山寺あり、今夜は高谷(○○)といふさとにとゞまりぬ、〈◯中略〉此山〈◯大山〉こえすぎて瀬野(○○)といふさとあり、こヽもみなやまあひのほそ路なり、