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西遊記

家豬 安芸国広島の城下其繁華美麗なる事、大坂より西にてはならぶ地なし、其町にぶた多し、形牛の小さきが如く肥ふくれて、色黒く毛はげて、ふつヽかなるものなり、京などに犬のある如く、家々町々の軒下に多し、他国にては珍らしき物なり、 ◯按ずるに、広島の名は築城の時に、毛利氏の祖大江広元の広と、当時の普請奉行福島大和守の島とお採りて名つけたりと雲ふ俗説虚実見聞記等にあれども今採らず、