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古事記伝

周芳(すはう)の国の造〈書紀の巻々にも芳の字おかけり〉師は須波(すは)と訓れき、信に万葉などにも、芳は波(は)の仮字に用ひ、又須波宇と雲むよりは、古言の体(さま)なり、されど此国の名お、正しく然雲る例お未た見ず、〈万葉四に、周防(すはう)在磐国山乎(なるいはくにやまお)とよめるも、須波那流(すはなる)か、須波宇那流(すはうなる)か定めがたし、〉和名抄にも周防〈須波宇〉とある故に、今も然訓つ、名の義いまだ考へ得ず、