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鹿苑院殿厳島詣記
十三日、〈◯康応元年三月〉この国〈◯周防〉の国府の南たかはまといふ浦ばたのみたじり(○○○○)といふ松原に御旅所おたてたり、此松原はいそのかみ厳島の明神こヽにあまくだりまして、今のいつくしまにはうつらせ給ければ、げにぞ神さびたるや、銀おしけるやうなるいさご、西東のすさきの中お入江のやうに二すぢばかりしほさし入て、浦松のいたくこだかヽらで、枝ざし老かがまりて、木だちつくろへるやうなるむら〳〵おひて、其中にちいさき社のふりたるぞおはします、〈◯下略〉