[p.0769]
淡路常盤草
四津名郡
富島(としま) 机浦〈◯育波郷〉にあり 按るに播磨魚住泊〈今の魚崎なるべし〉より津国大和田泊〈今の兵庫〉まで、一日行の間には船お泊むべき所少し、東南の風あらき時、岩屋の迫門乗過しがたきには、富島野島などに船お泊めて風お待べき所也、この故にむかしは、富島野島の海浜に、堤防お築きて船お泊る所の入江となせしなるべし、因て築江と名づけたるお、机と訓通ずる故に、後世省文お以て机と書替たるなるべし、其堤防いつの世にか、風波に破れて富島野島の名のみ遺れる事、譬へば大和田の泊破壊して、築江の名存するが如し、再興修覆して、舟人の漂没お救はヾ大なる仁恩なるべし、