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鹿苑院殿厳島詣記
康応元年三月六日、いの時ばかりにおきの方にあたりて、あし火のかげ所々に見ゆ、これなむ讃岐国うたつなりけり、御舟程なくいたりつかせ給ぬ、七日は是にとヾまらせ給、此処のかたちは北にむかひて、なぎさにそひて海人の家々ならべり、ひむがしは野山のおのへ北ざまに長くみえたり、磯きはにつヾきて、古たか松かえなどむろの木にならびたり、〈◯下略〉