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源平盛衰記
十九
文覚入定京上事 文覚〈◯中略〉角て兵衛佐殿〈◯源頼朝〉の許に行向て申けるは、〈◯中略〉されば院宣お急ぎ給らんと思給はヾ、高雄へ庄園お寄進有べしと雲ければ、佐殿は我身だにも安堵せずして、いかにとして奉べしと宣ふ、〈◯中略〉文覚は、手にとり得つれば必惜き事也、なき物は惜からず、国も広博也、唯所知お十余所寄進し給へとて、紙硯取向(とりむけて)、〈◯中略〉土佐国には高賀茂郷(○○○○)お始として、十三箇所お撰出し、それそれと雲ければ、〈◯下略〉