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古今著聞集
十九草木
経信卿太宰帥に任じて下向の時、八月十五夜に、筑前国筵田駅(○○○)につきたりけるに、天はれ月あきらかなるに、館の前に大きなる槻ありけり、枝葉ひろくさしおほひて月おへだてければ、人おめしあつめて、たちまちに其木お切はらはせて、月にむかひて夜もすがら琵琶おかきならして、心おすまして、天あけぬればたヽれにけり、かヽるすき人も、今はなき世なりけり