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筑前国続風土記
十九
早良郡 此郡福岡城下の西に有て近し、福岡の城も、町の西の方三分が一は早良郡に属せり、此郡北に海ありて、三方高山あり、広平の村里多く、水田多し、中に早良川流る、故に山林河海そなはりて、薪材乏しからず、魚塩多し、河水多けれども、滞なくして水旱の患希なり、されども平田は肥饒ならずして種植豊ならず、凡此国の内、那珂、筵田、表粕屋、御笠、夜須、下座、上座の七郡は、南北に境つらなりて、其間に山隔たらず、嘉摩、穂波、鞍手、遠賀四郡も又しかり、宗像、裏粕屋は、東西並びつヾけり、怡土、志摩両郡も南北に地つらなれり、隻早良郡のみ、東西南三方には高山有て、他郡にへだヽり、北は海なり、是他郡に同じからず、