[p.0944]
十訓抄

天智天皇世につヽしみ給事ありて、筑前国上座郡朝倉といふ所の山中に、黒木の屋お造りておはしけるお、木丸殿と雲、円木にて造故也、〈◯中略〉さてかの木丸殿は、用心おしたまひければ、入来の人かならず名のりおしけり、 朝倉や木の丸殿に我おれば名のりおしつヽ行くはたが子ぞ、是天智天皇の御歌也、