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西遊雑記

福岡の城は、昔し名島の地に有しお、黒田長政朝臣此地に移し給ひし故に、備前福岡の地名お取りて、此所の地名と号し給ふ事と雲、筑前北向ふ国にして、朝鮮国に対し、陽おうしろとせる国なれども、如何の地理にや風土至てよく、上国と雲べし、博多とは僅の橋お以て隣とし、町続にして、双方の地中凡一万六千余軒、人物言語もいやしからずして、諸品自由繁昌の所也、