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太宰管内志
筑後五
三瀦郡 美無万は美奴万お、唱へひがみたる物と聞ゆ、〈古言に美無万と雲事あるべくもあらず、さて玉篇に、瀦音猪水所停也と見え、又和名抄に、安房国朝原郡大瀦於保奴万とあり、式に、出雲国出雲郡美努麻神社、又阿波国麻殖郡天水沼間比古神社と雲も有、〉名義は、沼に由有て負せたるべし、土地の様もしか思はるヽ所なり、〈◯中略〉さて方位は東上妻下妻二郡に隣り、南山門郡に隣り、西は河お隔て肥前国に隣り、北は御井郡、又肥前国に隣りて、郡中に山なく、西北に大河流れて、諸品運送の便よく、豊饒土地にして、国中の大郡なり、