豊後国は、ぶんごのくにと雲ひ、旧くはとよくにのみちのしりと雲ふ、本と豊国と称し、豊前国と一国たり、西海道に在りて、南は日向、北は豊前、西は肥後、筑後、筑前に界し、東北は海に臨めり、東西凡そ二十三里、南北凡そ二十七里、其地勢は、山脈北方より来り、連宣屈折、国内頗る平衍ならず、其海洋お豊後水道と称し、遥に四国の伊予と相対す、此国は古へ国府お大分郡に置き、日田(ひた)、球珠(くす)、直入(なほり)、大野(おほの)、海部(あま)、大分(おほいた)、速水(はやみ)、国埼(くむさき)の八郡お管し、延喜の制、上国に列す、後世国埼お改めて国東とす、明治維新の後、国東郡お東西の二郡に分ち、海部郡お南北の二郡に割き、凡て十郡と為し、大分県おして之お治せしむ、