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西遊雑記

天草島(○○○) 高四万余石の地也、此時島原と両所にて、四万余人罪せられし事故に、田畑荒て漸壱万余石の地と成、其以来他の島よりも渡りて田畑おひらきて、今二万余石の地と成と、土人物語りぬ、有馬浦より島原の城下へ五里といふ遠し、 島原の城下は、旅人の止宿、ゆかりなくては滞留ならず、返りがけに一見す、城は委敷見えず、市中凡五千軒、大概の町也、度々いふごとく、上方筋の城下にくらべ見れは、草葺の家七八分もあれば見苦しく、当主松平侯〈飛騨守〉御知行七万石の城下なれども、御知行不相応に在中あり、〈◯下略〉