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西遊雑記

此地〈◯薩摩〉より屋久の島へ、海上二十里といへども遠し、此間に小島多し、さて屋久の島は、古しへ屋久国と称せし一国にて、東西九里余、南北五里、七里、或は二里、或は一里、名産には杉の木お第一とし、樫の木樟脳猶よし、島の風俗、上世のかた残りて、島人琉球のごとく有髪の者多し、半は琉球の風有りと雲々、 此島へ旅人の渡る事国禁にて、予〈◯古河辰〉も渡海せず、浦々にて屋久の島へ渡らんと聞は、尋よりて島風お聞し事也、信じがたき事は援に記さず、