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北海道志
四地理
戸口 胆振国 山越郡、〈東は海、南は渡島国茅部、爾志二郡、西は後志国久遠、太櫓、島牧三郡、北は虻田、及後志国寿都、歌棄二郡に界す、方言やむくしないは栗の沢お通路と為すの義なり、一説に、冷水の流る渓と為す、〉口一千二百五十一、戸二百四十七、村三、〈◯中略〉 虻田郡〈東は有珠郡、及び石狩国札幌郡、南は海、西は山越郡、及び後志国磯谷郡、北は同国岩内、余市、小樽の三郡に至る、方言あぶは鉤、たは製作なり、鉤製作の所と雲義なり、〉口一千百三十二、戸一百四十一、村三、〈◯中略〉 有珠郡、〈東は室蘭、幌別、白老、千歳四郡、南は海、西北は虻田郡、東北は石狩国札幌郡に界す、方言うしよろなり、今短縮してうすと呼ぶ、湾の義なり、〉口三千六百四十六、戸六百八十五、村六、〈◯中略〉 室蘭郡、〈東は幌別郡、南は海、西北は有珠郡に界す、方言もろは数々、らんは降るなり、此地より鷲別に至る登降数回故に名くと、〉口千三百三十四、戸二百三十八、町七、村四、〈◯中略〉 幌別郡、〈東は白老郡、南は海、西は室蘭郡、北は有珠郡に界す、方言ほろべつは大川の義、一に雲、窟川の義、水源窟ある故に名とす、〉口一千百二十九、戸一百三十六、村三、〈◯中略〉 白老郡〈東は勇払郡、南は海、西は幌別、北は千歳郡に界す、方言しらるおひと呼ぶ、波生ずるの義なり、此地砂浜にして洪涛泛濫する故に此名あり〉、口六百三十三、戸一百四十一、村三、〈◯中略〉 勇払郡、〈東は日高国沙流郡、南は海、西は白老郡、北は千歳郡に界す、此地古名ゆうぶと呼ぶ、ゆうは湯なり、ぶは港なり、又河水の合流お雲、此河源きむんげつぶとうと名る、湖水にて温暖お帯て流るヽ故に此名ありと、〉口一千三百十六、戸三百四十四、村六、〈◯中略〉 千歳郡、〈東は日高国沙流郡、南は勇払、白老二郡、西及び北は石狩国札幌、夕張二郡に界す、旧名志古都国音死骨と通ず、故お以て寛政年間、箱館奉行羽大正養改め名く、其義は此地鶴多く集るお以て、鶴齢の長きに取れりと、松前藩のとき、おくわこは蠣崎四郎左衛門、おしつふは厚谷新下、あつしは工藤喜内、下まヽちは木村又八、上ろうさん、ろうさんは佐藤三郎左衛門、いちやりは今井善兵衛、ちんめり、ますは岡口彦兵衛支配地たり、〉口四百五十、戸百零七、村六、〈◯下略〉