[p.1331][p.1332][p.1332]
北海道志
一総叙
北海道旧土人戸口表 蝦夷戸口、古より得て知る可らず、松前建国以来、政教南よりして北し、厚岸は寛永に開け、宗谷は貞享に始り、根室は元禄に及び、国後択捉は宝暦寛政の間に漸す、乃ち地お割て家臣の封邑と為し、領お設て租税お征す、然後戸口裁かに得て計る可し、然るに対比貌閲の法あるに非ず、況や漁猟お事とし、水草お逐て遷る者に於ておや、今表する所、松前領の如きは、古来土人お分たず、故に記するお得ず、維新以後僅に茅部爾志二郡お挙るのみ、其全島お記する者は、唯文政安政の記籍備ると為す、然るに安政元年は多く巡見記に拠り、無き者は蝦夷雑書お以て補ふ、其他之お古人の記行筆記に徴するに、多く東に詳にして西お略す、然るに一領の増減も亦其地の盛衰お考るに足る、故に其明晰なる者お取て此に収む、明治以降、領お改て郡と為す、則之お各郡の下に収む、但其戸口遽に増減ある者は、省藩等の支配地お定め、尋て之お罷め、請負人お廃し、直轄と為すが如き、新旧交代の際査閲に暇あらざればなり、六七年以後に至ては、其実数お獲る者なり、 北海道旧土人戸口表〈◯中略〉◯此表、原書には郡領の戸口お一々挙げたれども、今之お略し、此に総計のみお掲く、