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蝦夷草紙
五附録
異国舶漂著の事 一かむさすかといふ国は、おろしや国の地続にて、東方の大端也、然といへども元来日本国の蝦夷地也、援におろしや国の暦元一千六百四十三年に至りて、彼国の土人にこうふるといふ者、この地に至りて、はじめて見聞たる所也、日本天明丙午の年〈◯六年〉に及て、一千百四十七年になる、其後かむさすか国土人おろしや国に伏従せしは、日本享保年間に其盟ありてより、今に到りて然り、此頃より東蝦夷地島々の東海お、せいうえれおらすとしうえと名け、西海おべんしゆんもおれやうと名付たり、其以後官舶渉来して開業おなす事盛ん也、此べんしゆんもうれやうへ落来る大河有、此落口は大港にしておぽつかといふ、日本享保年間に、奥州南部佐井町商人竹内徳兵衛といふ漂著せし処也、 ◯