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国朝旧章録

琉球国之事略 異朝の書お按るに、昔は流求と記したり、近代に及て琉球とは記せり、一説に流虬と記せしお、今は琉球と記す、此国虬(みつち)の大海の中に蟠る如くなれば、流虬と雲しと雲々、按るに流虬の説心得られず、我国の書に見えし処は、往古鎮西八郎為朝、大海の流に随ひて求め出されし国なれば、流求と記と雲、此説も誤れり、夫より先倭漢の書に皆々流求と記たり、又一説に、竜宮と雲し也、我国の書に竜宮と雲習はせるは此国也といふ、是も亦心得られず、隻何となく古よりりうきうと雲しお、後に漢字お仮りて流求共、琉球とも記せし成べし、