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長門本平家物語

少将は、都にてさつまがたへと聞給ひしかば、さもやはと思給けるに、九州のうちには有ざりけり、誠に世の常の流罪だにかなしかるべし、まして此島の有様伝聞ては、各もだえこがれけるこそむざんなれ、〈◯中略〉さつまがたとは総名也、きかいは十二の島なれば、くち五島は日本へ随へり、おく七しまはいまだ我朝に従はずといへり、白石、あこしき、くろ島、いわうが島、あせ納、あせ波、やくの島とて、えらぶ、おきなは(○○○○)、きかいが島といへり、