[p.1358]
琉球入貢紀略
うるまの島琉球にあらざるの弁 笈雉随筆、夏山雑談等に、うるまの国とは琉球なりといへり、これはもと狭衣といふ冊子に、うるまの島といふことのあるお、紹巴の下紐といふ註釈に、琉球なりといへるによると見ゆれども、謬りなり、うるまは新羅〈今の朝鮮なり〉の属島にして、琉球にはあらず、自ら別なり、その証は大納言公任集に、しらぎのうるまの島人来りて、こヽの人のいふことも聞しらずときかせたまひて、返りごと聞えざりける人にと、詞書ありて、おぼつかなうるまの島の人なれやわが恨むるおしらずがほなる、〈千載集には、四の句おわがことのはおに作る、〉また本朝麗藻に、新羅国〓陵島人とも見えたり、これにて琉球ならざることいと分明なり、前田夏蔭雲、うるまは〓陵の韓音なりといへり、