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琉球国事略
異朝の書に見えし琉球国の事 琉球は、其国大小の二つ有り、今の中山は、其大琉球(○○○)の国なり、 小琉球(○○○)の国は、中国に通る事なしと見えたり、其琉球の人に此事お問しに、小琉球といふ所詳ならず、今の大島の地お申せしにやと申す、此せつ心得ず、異朝の書に、小琉球は泉州の地に彭湖といふ所と煙火相望むといひ、又閩中の鼓山に上りて望むべしといふ、然らば閩中に近き海上に有や、大島ならんには、閩お去る事数千里お隔つ、又朝鮮の書に、小琉球の地は、琉球の東南水路七八日が程にあり、国に君長もなく、人みなたけたかく大にして、衣裳といふもなし、人死しぬれば、其親族集りて其肉おくらひ、其頭にうるしぬりて飲器とすといふ事あり、是も亦信用に足らず、