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西遊雑記

琉球館お一見せしに、門番ありて内に入事お禁ぜり、凡百人ばかりは鹿児島に渡り居て、琉球の産物お売買して、又は交易する事にて、何も日本の言葉お七八分もつかふと雲り、田舎よりも京へ登りて諸芸お習ふ様に、琉球人は鹿児島に渡りて学文おし、諸芸お習ふ、和歌もよみ、手跡も見事成琉球人あり、天窓は有髪にて、小童の髪結ひしやふに、何れも丸わげにして、笄お差て居る也、衣も日本に言ふ居士衣の如し、規式祭葬の節は、色々の冠服も有べし、右は平生の形り也、五雑俎に琉球は醇也と記せしはむべ也、