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東雅
三地輿
道みち 義不詳、上古には道おばちといひしなり、道早振といひ、伊都之道別なども雲ひし是なり、又みちといひしは、みとは御なり、ちは即道なり、古事記に御路の字お用ひてみちと読む、たとへば嶺おみ子といひ、崎おみさきなどいふが如し、南北お千とし、たてしのみちといひ、東西お陌として、よこしのみちといひ、大路はおほぢといひ、小路はこうぢといふ、又街衢等の字読てちまたといふは、道の分るヽ所なり、猶水のわかるヽ所おみなまたといひて、派また池の字お読てみなまたといふが如し、辻の字お用ひて読む事、十字の如くなるは、我国の俗、創造れる所なり、経路読てたヾちといひ、間道読てかくれみちといふなり、〈たヾちといふは、たヾは直なり、今俗にすぐみちといふ是なり、かくれみちとは、あらはに人の通はぬおいひしなり、〉