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東海道名所記

親しらず子しらず(○○○○○○○○)、こヽは左の方は山にて高く、右は大海なり、海ばたは一騎うちの道にて、打寄する浪大なり、道行人さらにあとおかへりみるいとまなしさてこそ親しらず子しらずとは名付たれ、北国の道中にも此名ある所、これも同じく波うちぎはなり、明暦元年乙未九月に、朝鮮国より使官来朝せり、此ために親しらずの道おとヾめて、薩埵山おひらきて海道とせられたり、