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玉勝間
十一
三十六町お一里とする事 道のほどお卅六町お一里とするは、いつの世よりのさだめならむ、ある説に、織田大臣の世よりの事なりといふはたがへり、尭孝僧都の富士の道記に、近江のむさの宿お、都より十三里といひ、美濃のたる井お、むさより十四里などいへる、すべて今の世のさだめと同じ、此事なほ他書にもあるべきお、心つかず、これはたヾふと心づきたるまヽに書おけるおあげたるなり、