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新編常陸国誌

行路 海道 海道は東海の大道なり、伊賀伊勢以東本国に至るまで十五箇国、皆東海道の域に属す、故に往来の大道これお海道と称す、古代石背石城の国いまだ陸奥に隷せざりし間は、東海道に属す、故に今に至て石城、石瀬、菊多、岩崎等の四郡呼て海道四郡と称す、陸奥国中に海道の称ありしことは、日本後紀に、弘仁二年四月乙酉、廃陸奥海道十駅、更於通常陸道置長有高野二駅と見えたるにてたしかなり、海道の十駅といへるは、本国多珂郡奈古曾関お越て菊多郡に入しより、海道四郡と称せる内の駅家おいへり、更に長有高野の二駅お置といへるは、白河郡の内にて、本郡久慈郡に通ずる道なり、