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類聚名物考
地理六
越路 こしぢ 三越道みこしぢ 越前越中越後の三国お、むかしはひとつに越の国と言へり、古事記には高志と仮名にも有り、京より往来の道おこし路と雲、又はみこし路ともいへり、三越へ通ふ故に、三はみなりといふ事もあれども、三吉野三熊野の類ひ、みは真といふに同じく、賞美の詞にて、真玉真金の類ひ是なり、但摂津近江の三津の類ひも、賞美の詞も有、又三所津の名有は、かねていふも有は、必しもかぎりて雲にはあらず、三熊野、三山、三越、三坂の類相同じ、