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枕草子
十二
心づきなきもの はつせにまうでヽつぼねにいたるに、あやしきげすどもの、うしろさしまぜつヽ居なみたるけしきこそ、ないがしろなれ、いみじき心おおこしてまうでたるに、川の音などのおそろしきに、くれはしおのぼりこうじて、いつしか仏の御かほおおがみ奉らんと、つぼねにいそぎ入たるに、みの虫のやうなるものヽ、あやしききぬきたるが、いとにくきたちいぬかづきたるは、おしたふしつべきこヽちこそすれ、