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枕草子

五月の〈◯中略〉ついたちより雨がちにてくもりくらす、つれ〴〵なるお、郭公の声尋ありかばやといふおきヽて、われも〳〵と出たつ、賀茂のおくになにがしとかや、七夕のわたるはしにはあらで(○○○○○○○○○○○○○)、にくき名ぞきこえし(○○○○○○○○○)、そのわたりになん日ごとになくと人のいへば、それは日ぐらしなりといらふる人もあり、そこへとて、五日のあした、みやづかさ車のこといひて、北の陣より、さみだれはとがめなき物ぞとて、さしよせて四人ばかりぞのりてゆく、