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窓の須佐美

是も京なる富家、七月十四日債お乞に人おやりけり、使の者あつめ得て帰とて、四条辺にておとしける、初昏過る頃なれば、つれたりつる一奴と共に、月影お当に、こヽかしこと尋ぬれども見へざりければ、仮橋辺まで帰りたるに、乞食一人立向ひ、そこには物お尋ねらるヽよしにや、若金子には候はずや、其員お承らば、先にひろひ置、主お求て返し申さんと、心まちにて居候といふ、