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続近世奇人伝

仏佐吉 永田佐吉は、美濃の国羽栗郡竹が鼻の下にして、親につかふることたぐひなし、〈◯中略〉大なることには、処々の土橋洪水の時に落ることお恐れて、自財おすてヽ石ばしとす、およそ至孝おはじめて、其所行お国侯きこしめして、米おおほくたびて感賞し給ひ、なにごとにも望とあらばまうしいでよと、おほせくだされければ、其時よみて奉りける、 ありがたやかヽる浮世に生れてきてなに不足なき御代に住哉