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都紀行

六日〈◯文久四年三月〉長閑の空に、けふは嵐山の花お詠んと立出て、〈◯中略〉渡月橋お渡りて右へ河辺につき行、〈◯中略〉楼門お過て智福山法輪寺に至るに、山の半腹にして、真言宗本尊は虚空蔵菩薩の座像なり、〈◯中略〉山お下り、また渡月橋お戻るに、柴舟に棹さして川水お登りて遊べる人お見て、 大井川花の上なる虚空蔵うなぎ登りに遊ぶ柴舟