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栄花物語
三十一殿上花見
二日〈◯長元四年十月、中略、〉日うちくるヽほどに、歌よませ給ふ、すみよしの道に述懐といふ心お、〈◯中略〉 母儀仙院、〈◯一条后彰子〉巡礼住吉霊社、関白〈◯藤原頼通〉左相府〈◯頼通弟教通〉以下、卿士大夫之祗候者済々焉、或棹花船而取水路、或脂金車而備陸行、蓋四海之無杳、展多年之旧思也、于時秋之暮矣、日漸斜焉、向難波兮忘帰、旧風留容、過長柄兮催興、古橋伝名、遂仗酣酔、各発詠歌、其詞雲、〈◯中略〉 関白殿 君が代はながらのはしのはじめより神さびにけるすみよしの松〈◯中略〉 弁のめのと 橋ばしらのこらざりせばつのくにのしらずながらやすぎはてなまし