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駿河土産

大坂冬御陣之時城方より下筋自燃之事 大坂冬御陣の節、城方より下町筋お自焼致し候刻、高麗橋おも焼落したりとも申、又左様には無之とも申、一円儀定不仕候に付、小栗又市見分致し候へば、罷越候て高麗橋は其儘にて有之候と申上候得ば、被遊御聞、若高麗橋おも燃落候に於ては、城中の奴原悉むし殺にしてくれんとおもひつるにとの上意にて、何とて使番の者共は見届ざると仰有ければ、又市いづれも億病共に候故、近く寄て見候へば、鉄炮の当るべきかと存、遠くより見候に付ての事に候と申上る、