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伊勢大神宮神異記

慶安年中の事なるに、内宮の御裳濯川の大橋お渡得ぬ道者ありて、帰らんとすれば平生のごとくにして、又渡らんとすれば心みだれ目くらみける間、宮中へは不参して其より下向しけるとぞ、いかなる故か待けん、人こそしり侍らね、心中にかくす罪ありて、神明御納受なき人なるべし、か様の事はむかしより幾度も有しと、所の人は物がたりき、